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ある娘を愛した (竹内浩三)

天気のいい日に



続き




喫茶店に入ると、うらぎったおんなが好きであったカルテットが鳴りだした。

だまれ、だまれ。
おれが悶絶しそうになっているのを、お前はすましてながめていたぞ。お前はつべたかった。

ぼくは、なにかわからぬものにたいして、ひじょうにふんがいした。シラップのコップがふるえだした。

決シテイカラズ
イツモシズカニワラッテイル

おんなが、
「あなたの生き方を、立派だと思うわ」
と言ったので、その白いワンピイスが、コップのそこの氷のかけらにかげって氷がぴかぴかした。


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画 十五夜さま



「おれ自身よりも、お前がすきだ」
と、ぼくは、うらぎったおんなにうらぎるまえに言ったことがある。
そのおれ自身の生き方をだ、このおんなが讃美しはじめ、
おれがこのおんなを神様のように思いはじめたということは、
一体どうしたことだろう。

しんじつというやつは、なんだろう。



  
(天気のいい日に)


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