archive: 2011年04月  1/1

泥葬(竹内浩三)

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泥葬われ、山にむかいて、目をぞあぐる。わがたすけは、いづくよりきたるならん。(讃美歌第四百七十六)腐り船鼻もちならねえ、どぶ水なんだ。屍臭を放つ腐り船が半沈みなんだ。青みどろなんかが、からみついているんだ。舷側にたったひとつ、モオゼ(ル)のピストルが置いてあるんだ。しかも、太陽はきらきらしているんだ。星夜月はないけれど、星がいっぱいかがやいていた。気色の悪いわるいほど、星には愛嬌があった。ぼくは、...

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雨(竹内浩三)

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雨さいげんなくざんござんごと雨がふるまっくらな空からざんござんごとおしよせてくるぼくは傘もないしお金もない雨にまけまいとしてがちんがちんとあるいたお金をつかうことはにぎやかだからすきだものをたべることはにぎやかだからすきだぼくは にぎやかなことがすきださいげんなく ざんござんごと雨がふるぼくは 傘もないし お金もないきものはぬれてさぶいけれど誰もかまってくれないぼくは一人でがちんがちんとあるいたあ...

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東京(竹内浩三)

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東京東京はタイクツな町だ男も女も笑わずにとがった神経で高いカカトで自分の目的の外は何も考えず歩いて行く東京は冷たい町だレンガもアスファルトも笑わずに四角い顔で冷たい表情でほこりまみれでよこたわっている東京では漫画やオペラが要るはずだとうなずける「日本が見えない」藤原書店発行 小林察編よりRhoto 瑠奈ちゃんと影まで視ていなかったからそいつの正体がわからなかったんだ。カメレオンのような衣裳をまとったそ...

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五月のように(竹内浩三)

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五月のようになんのためにともかく 生きているともかくどう生きるべきかそれは どえらい問題だそれを一生考え 考えぬいてもはじまらん考えれば 考えるほど理屈が多くなりこまるこまる前に 次のことばを知ると得だ歓喜して生きよ ヴィヴェ・ジョアイユウ理屈を云う前に ヴィヴェ・ジョアイユウ信ずることは めでたい真を知りたければ信ぜよそこに真はいつでもある弱い人よボクも人一倍弱い信を忘れそしてかなしくなる信を忘...

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三ツ星さん (竹内浩三)

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三ツ星さん私のすきな三ツ星さん私はいつも元気ですいつでも私を見て下さい私は諸君に見られてもはづかしくない生活を力一ぱいやりまする私のすきなカシオペア私は諸君が大すきだいつでも三人きっちりとならんですゝむ星さんよ生きることはたのしいねほんとに私は生きている「愚の旗」 成星出版 より画 十五夜 ちゃちゃさま浩三はカシオペア座が好きだったんですね☆大概の場合、冬の星座として紹介されるカシオペア座ですが実...

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あきらめろと云うが (竹内浩三)

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竹内浩三についての「はじめに」はいつまでもトップではあれなんでサイドバーの一番上にリンクしておきますのでご覧になりたいときはサイドバーから見てくださいね。あきらめろと云うがかの女を 人は あきらめろと云うが おんなを 人は かの女だけでないと云うがおれには 遠くの田螺の鳴声まで かの女の歌声にきこえ遠くの汽車の汽笛まで かの女の溜息にきこえるそれでも かの女を 人は あきらめろと云う「日本が見えない...

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メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト(竹内浩三)

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メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト若草山やそよ風の吹く大和の野 かすみ かすみそよ風の吹くおなごの髪やそよ風の吹くおなごの髪や枯草のかかれるを手をのばし とってやるおなごのスカアトやつぎあとのはげしさおなごの目や雲の映れるそよ風の映れる二人は いつまで とその言葉やその言葉やそよ風の吹く「日本が見えない」藤原書店発行 小林察編より浩三の詩の中でもとりわけ清々しい響きのある詩ですね 枯草の、...

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