category: 竹内浩三  1/8

宇治橋(竹内浩三)

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いよいよ竹内浩三ラストエントリーとなりました。ラストの詩と書と写真はずっと前に決めていました。このラストに向かってそれまでの記事を編集してきました。そして筑波日記も終わり、絶筆となります。今は達成感でいっぱいです。「竹内浩三」を最後までお読みくださりありがとう。最後の詩は同じ’伊勢人’として私が選んだ「宇治橋」です。 宇治橋       ながいきをしたいいつかくる宇治橋のわたりぞめをおれたちでやりた...

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海(竹内浩三)

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海ぼくが 帰るとまもなくまだ八月に入ったばかりなのに海はその表情を変えはじめた白い歯をむき出して大波小波を ぼくにぶっつけるぼくは 帰るとすぐに誰もなぐさめてくれないので海になぐさめてもらいにやってきた海はじつにやさしくぼくを抱いてくれた海へは毎日来ようと思った秋は 海へまっ先にやってくるもう秋風なのだ乾いた砂をふきあげる風だぼくは眼をほそめて海を見ておった表情を変えた海をばうらめしがっておった「...

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姪・松島芙美代宛ての手紙

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姪・松島芙美代宛ての手紙お前が生まれてきたのはめでたいことであった。お前が女であったのでしかも三人目の女であったので、お前のお母さんはお前が生まれてがっかりであったという。お前はせっかく生まれてきたのにまずお前に対してもたれた人の感情ががっかりであったとは気の毒である。しかしお前までがっかりしてこれは生まれてこん方がよかったなどど厭世的になる必要もない。 お前の生まれた時はお前の国にとってただなら...

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浩三の恋 (完)

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浩三の恋 12(終)おれの考えていることなど全く若いのだ。サンチメタルなんだ。彼女のことなどどうなってもいいではないか。彼女はうらぎったのだ。私は苦い思いで悪人になることに成功した。はは。私は雨上がりの青空を見上げて笑った。おれには、おれの生き方があるのだ。あんなろくでもない女、くそくらえだ。いくさから帰ったら、嫁さんをもろて中井利亮と土屋陽一がいくさから帰るのをまって、そうだ、約束どおり、三人そろ...

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浩三の恋 

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浩三の恋 11 (八月六日からの続き)私は、一世一代の大英断をもって、彼女を愛することを、ふっつりと中止しようかと考え始めた。それは利口なことだし一番いいことでもあるらしい。彼女を愛していてもろくなことは一つもないのだ。ろくなことが一つもないから中止するという私の一番きらいな計算的な考えを私はしようというのである。私の神経は断然それを反対する。ゆるさないのだ。そんな、きたない計算をはじめた自分をゆる...

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うたうたいは・口業(竹内浩三)

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うたうたいはうたうたいは うたうたえと きみいえど 口おもく うたうたえず。うたうたいが うたうたわざれば 死つるよりほか すべなからんや。魚のごと あぼあぼと 生きるこそ 悲しけれ。「愚の旗」 成星出版 より 口業(こうごう)修利修利 摩訶修利 修修利 娑婆訶 己のうたいし ことのはのかずかずは 乾酪(チイズ)のごと 麦酒(ビイル)のごと 光うしないて よどみはてしは わがこころのさまも かくあ...

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骨のうたう(竹内浩三)

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骨のうたう戦死やあわれ兵隊の死ぬるや あわれ遠い他国で ひょんと死ぬるやだまって だれもいないところでひょんと死ぬるやふるさとの風やこいびとの眼やひょんと消ゆるや国のため大君のため死んでしまうやその心や白い箱にて 故国をながめる音もなく なんにもなく帰っては きましたけれど故国の人のよそよそしさや自分の事務や女のみだしなみが大切で骨は骨 骨を愛する人もなし骨は骨として 勲章をもらい高く崇められ ほ...

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